
デザイナー森下公則 氏により2003年、東京で設立。
日本の職人技術に深く根差しながら、ミリタリーやワークウェアの実用性を再解釈し
独自の美意識へと昇華。伝統と革新を緊張感のあるバランスで共存させるそのアプローチは
単なる衣服の枠を超え、「時間や記憶を纏うプロダクト」としての存在価値を提示してきた。

幾重にも重ねられる手染めや洗いの工程
そして削ぎ落としながらも痕跡を残す仕上げ。
それらはすべて、素材に“履歴”を刻むためのプロセスであり
均一ではない個体差こそが、このブランドの本質でもある。

2007年にはパリコレクションへ進出し国際的評価を確立。
2009年に活動を休止するも、2025年秋冬シーズンより再始動。

森下 氏が一貫して追い求めるのは、「着る人の背景までも内包する衣服」。
その静かな強度は、時を経てもなお、着る者の中に残り続ける。

HAND EMBROIDERY SHIRT COLLECTION
本コレクションは、kiminori morishitaの根幹にある“手仕事の痕跡”を、より象徴的に可視化したシリーズである。
メゾンブランドを支えるインドの刺繍職人たちの手によって、複数人が数日をかけて施す刺繍は、装飾という領域を超え、彫刻的な存在感を帯びる。糸の重なりや密度はまるでレリーフのように立体的で、衣服の表面にもう一つのレイヤーを構築する。
一方でベースとなるシャツは、洗いを重ねたコットンクロスによるラフな質感。厳かな刺繍と日常性を持つボディとのコントラストが、このシリーズ特有の緊張感を生み出している。

また、すべてのモデルに共通して配される“蜂”の刺繍は、森下 うじ自身のシグネチャーであり、作品性を担保する静かな証明でもある。
"NECKLACE"
首元を囲うように配置された刺繍は、まるで装身具を纏うかのような構成。
本来フェミニンに傾きやすいネックレスというモチーフを、重厚な刺繍の積層によって再構築することで、装飾性と力強さが拮抗する独自のバランスを生み出している。静謐でありながら確かな存在感を放つ一着。
"FEATHER"
背面に大きく配された羽根のモチーフが印象的なモデル。
軽やかさや儚さを想起させる“羽根”を、あえて密度の高い刺繍で表現することで、視覚的な軽さと物質的な重みが交錯する。動きの中でさりげなく主張する背面の表情は、着用者の佇まいに余韻を与える。

"EYE"
象徴的な“目”のモチーフを中心に据えた一着。
刺繍に加えビーズ装飾を組み合わせることで、光を受けて繊細に表情を変える奥行きを演出。どこか神聖性を帯びた視線のような存在感は、衣服でありながらオブジェにも近い印象を与える。
コットンシルク素材によるほのかな光沢と滑らかさが加わることで、シリーズの中でも特にエレガントな側面が際立つ。
TEXTILE / SILHOUETTE
生地には、ポプリンライクなコットンクロス(※EYEはコットンシルク)を採用。さらに洗いを施すことで、均一ではない自然なシワと柔らかな風合いを引き出している。
アイロンをかけずとも成立するラフさと、肌に滑らかに馴染むタッチは、日常着としての快適性を担保する要素でもある。

シルエットは、過度な主張を排した適度なゆとりのある設計。単体での着用はもちろん、ジャケットのインナーとしても機能する汎用性を備え、長く着用する中でその完成度が際立つ。
kiminori morishita

刺繍という手仕事の集積によって刻まれる“時間”と、洗いによって生まれる“日常性”。
相反する要素を内包しながら成立するこれらのシャツは、単なる装飾的なプロダクトではなく、着ることで完成していく存在です。
纏うたびに生まれるシワや馴染み、そして刺繍の揺るぎない存在感。それらが重なり合い、やがて着る人自身の記憶と結びついていく。
時間とともに表情を深め、着る人の中で価値を重ねていく一着。
その静かな強度を、ぜひ体感してください。
